日本人は、アカデミックエッセイやレポートの書き方を習得することには、多くの時間を費やすようです。たとえば、5段落エッセイ(イントロ段落、メイン3段落、クローズ段落の典型的なエッセイ例)や、脚注、概要、参考文献一覧付の論文などが、その一環です。ところが、ビジネス英語を学ぶことについてはどうでしょうか?ビジネスにおいてコミュニケーションを効果的に図るために重要な、ビジネスレター、メモランダム(連絡票)、Eメール等の、正式なビジネス文書の書き方やマナーを知らない方が多いのです。ここでは、その確認をしてみましょう!
Letters:ビジネスレター
ビジネスレターは、社外の人と正式なコミュニケーションを図る際に使われます。レターヘッド、日付、相手のフルネーム・肩書・住所、そして宛名を「Dear Ms. Hallands:」のように記し、レターを始めます。(宛名の最後は、コロンで終わる)
メインのパートでは、前回のやり取りや最近の電話などに日付入りで言及し、そのレターが必要な理由をはっきり述べないといけません。一般的に、ビジネスレターは簡潔であることが大事ですが、1枚に収まらない場合は、2頁目にはレターヘッドなしの同質紙を用い、「Permission Request, Ms. Hallands-2」といった本レターの趣旨を確認する行から始めるのが良いでしょう。
レターの最後は、「Sincerely yours,」、「Yours truly,」、「Kind regards,」や「Cordially,」などの丁寧な言葉で結びます。そして、自分のフルネーム、肩書とともに、黒か青のインクで署名をします。もし、宛先の本人以外に本レターのコピーを届ける場合は、本レターのあとに、CCで明示します。さらに、もしパンフレット、プレスリリース、写真など他の資料を同送する場合は、「Enclosures」や「Attachments」という言葉を加えるのを忘れないでください。
Memorandums:メモランダム
メモランダムは、社内用の文書です。Eメールが一般的になる前は、メモランダムまたは「メモ」が社内で書面をやり取りするのに最も一般的な方法でした。社内の重要な決定、イベント、ニュース、そして「重要」・「機密」扱いとされる情報や方針などもメモとして保管されていました。各企業には、その企業独自のメモのスタイルがありますが、基本的な様式はどこも同じです。社内文書だということを告げる「メモランダム」という中央のタイトルに始まり、その後、以下のように続きます。
To: ____________(宛 先)_____________
From: _________(発信者)____________
Subject: _______(件 名)_____________
Date: __________(日 付)_____________
メインのパートは、メモを書く理由で始め、続いてメインで述べたいポイントを重要順に、そしてそれをサポートする情報と理由を記載します。簡潔にするため、回りくどかったり、曖昧だったりする表現はせず、ストレートな表現をすることが大事です。メモは、質問あるいは次のステップへの言及で、閉めます。挨拶や結びの語句は必要ありませんが、CCや「Enclosures」などについては、ここでも前述の通りです。
補足として、メモを読んだことを示すために、Fromの横に読んだ人のイニシャルを書くことがあります。また、メモの最下部には、メモの作成者名とタイプした人のイニシャルが書かれていることがあります。
Email:Eメール
既にお気づきと思いますが、Eメールの様式とメモの様式はとても似ています。これは、いかにメモの様式がEメールに影響を与えたかということを示しています。
Eメールに代表されるコンピュータを介したメッセージ機能の急速な発展は、ビジネスプロフェッショナルの世界とのコミュニケーションを変えてきました。しかしながら、英語の使い方、スタイル、フォーマット、マナーから、CCや返信の方法にいたるまで、まだまだ多くの混乱・勘違いがはびこっています。絶え間ない技術進歩に伴い、Eメールの様式も変わり続ける中、様々な誤解や情報漏洩なども同時に目立つようになりました。このような状況の中、どのように適切なフォーマットを選べばよいのでしょうか?ミスや情報流出はどのように防げば良いでしょうか?
まず初めに、宛先のアドレスは、正確に入力しましょう。宛先欄には、Eメールアドレスしか入力することは出来ないかもしれませんが、アドレス帳にはEメールアドレスを名前付きで登録しておけば、混乱を防ぐことが出来ます。さらに、メール作成において、送信者の名前がしっかり表示されていること、件名が分かりやすいことが大切です。件名を空白で送ることは絶対に避けましょう。
本文冒頭のメール宛先の表示については、Dearに続けて受信者のファーストネーム、あるいはよりフォーマルなメールでは、Mr.かMs.とラストネームを記載してください。これで、誰がメールの受け手なのかがはっきりします。複数名にCCされていることもあるので、簡単な挨拶を忘れてはいけません。ビジネスメールは、個人的なメールよりフォーマルであることを常に意識しましょう。略語、コンピュータ用語、顔文字を使うことはやめ、相手にフレンドリーでありつつも、敬意を払い、丁寧であるようにこころがけましょう。さらには、電子メッセージは書類より読みにくく、大事なポイントが読み手に見落とされがちですから、出来るだけ簡潔に書くことが大切です。
また、Eメールでは、たくさんの人にCCすることで、問題を起きることがあります。一度にCCする人数は、3~4人以下にとどめるようにしましょう。複数の受信者が、お互いに返信を繰り返すことで、Eメールがチェーンのように長くなってしまうことは好ましくありません。2回目以降の返信は、受け手が新しいメッセージだとはっきり分かるように、件名を修正するようにしましょう。返信が繰り返される場合は、新規メッセージを作成し、宛先のアドレスを入れなおし、関係のないメールチェーンはカットするようにした方が良いでしょう。付け加えると、メッセージを転送する際は、常に本文に不適切な情報が無いか確認し、他者のプライバシーを守ることに気を付けてください。これは、自身の受信メッセージ中のアドレスを転用するときも、同様です。
それでは、最後に一つ、古き良きアドバイスをお伝えしましょう。ビジネスマナーを守り、思慮深く、適切で、且つ効果的なコミュニケーションを実践することを可能にするために。「レター、メモ、Eメールのいずれを書くにしても、常に、明日の新聞の一面に載っても恥じないような心づもりで、書きなさい。」
<筆者>
David Tedone(デイビッド テドネ)
UCLA Extension Tokyo Center主任講師
米国出身、応用言語学、英語、英語教授法の修士号取得。コンサルタントとして国際ビジネスの分野でキャリアを積んだ後、約3,000人、60カ国以上の社会人、学生にビジネス英語とコミュニケーションスキルを指導。現在、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の社会人教育機関「UCLA Extension」のプログラムを日本で運営するUCLA Extension Tokyo Centerにて主任講師を務める。2010年度 UCLA Extension Distinguished Instructor Awardを受賞。
<日本語訳>
金重 惠介 (かねしげ けいすけ)
UCLA Extension Tokyo Centerセンター長
東京大学教育学部卒。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。子供服業界でマーケティング、法務、経営企画等を歴任した後、河合塾に合流。海外の大学を進路とする中高一貫校の設立構想を担当後、UCLA Extension事業を立ち上げる。MBA友の会幹事、ケロッグ日本同窓会役員。
